馬仲介の詐欺事件疑惑に関する新聞記事


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■馬術選手元夫婦 馬斡旋でトラブル (1999年4月11日・夕刊フジ)
 

日本馬術競技の現役名選手の元夫婦が経営する会社で、馬のあっせんをめぐるトラブルが起きていたことが10日、分かった。海外馬の仲介取引をした同社に対し、「代金を渡したが、肝心の馬が来ない。金も戻ってこない」といった苦情が買い手側からあがっているのだ。返還金請求訴訟では「買い手に債権あり」との判決が出たが、依然として両者の関係はくすぶっている。

この馬術選手は、広島アジア大会で優勝経験があり、国体でも昨年、一昨年と連勝を続けている下田マスミ選手(48)と、馬術日本代表のトレーナーなども務めた元夫の下田恒裕氏(55)。下田氏らは5年ほど前、都内で会社を経営するAさん(53)と知り合った。高校生の娘が馬術選手であるAさんに、下田氏らは「競技で勝つには外国で調教を受けた馬が必要」と持ちかけ、平成6年8月にAさん父子とオランダに行き、馬の売買を仲介。一頭の馬を買うことにしたAさんは、購入金額1800万円や手数料など約2000万円を帰国後、下田氏側に支払った。

ところが、年が明けても馬は来ず、逆に下田氏らは「伝染病にかかった」とAさんに伝え、別の馬をあっせんしてきた。この代替馬はAさんのものとなり、代金は当初買う予定だった馬の代金から差し引かれたが、差額は戻ってこなかった。下田氏らは、7年5月にも英国の名馬の購入をAさんに持ちかけた。手数料など込みで1700万円もする馬だ。Aさんは最初の馬の残金を購入金に充て、不足の400万円も下田選手に前払いした。ところがこれも「飛行機に乗る際に馬が暴れてダメになった」。

このほか、下田氏らは国産馬の購入もAさんにあっせんし、Aさんは前払い代金250万円を支払ったが、下田氏らの会社のきゅう舎に預けている間に馬は蒸発、代金は返ってこなかったという。

業を煮やしたAさんは、下田氏らに預けた金など2300万円余りの返還を求めて9年、東京地裁に提訴。同地裁は今年2月、「下田氏ら個人に責任はないが、A氏は下田氏の会社に対し総額1760万円の債権がある」と認定した。下田氏側は控訴しなかった。

ところが、この判決の前後から、ほかからも「下田氏らから同様の被害を受けた」という声が出始めた。「馬を買うために下田氏に金を渡したが、『馬がドクターチェックを通らなかった』『血液検査でひっかかった』との理由で金を返却してくれない」といったものだ。

下田恒裕氏は夕刊フジの取材に対し、「Aさんの場合、代替用の馬を2頭用意した。1頭は輸入に時間がかかってしまった。その間にAさんの娘さんが馬術をやめてしまい、馬を引き取ってくれなかった」と説明。代替馬引き取りを主張した下田氏だが、訴訟では認められなかったという。また馬が検疫や輸送前に暴れた−という点について下田氏は「予測できない問題。馬の3割は血液検査でひっかかる」という。

日本中央競馬会(JRA)の専門家は、「確かに馬が検査にひっかかることは珍しくないという一方、「馬が病気になったなら検査結果があるはず。血液検査なども書類があるので、書類の請求も可能だが…」と疑問を呈す。証明書類について下田氏は「ない。でも現物の馬がいる」としている。そのうえで「(馬の代金を)支払う意志はある。ただ支払い義務はあ くまでも会社にあり、私たち個人にはない。会社として善処したい。オランダまで行って、現地の一流トレーナーをつけてAさんの娘にはコーチしてあげたのに…」と納得がいかない様子で語っている。


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